【絵本】空をつくる|家を建てすぎて空が見えないから空を作るけど…

児童書・絵本ブログのナギブックです。
今回は「空をつくる」をご紹介します。

空をつくる
● 1番おすすめの年齢:7歳~8歳
● 1ページの文章量:平均6行~8行
● 漢字使用(ルビなし ※一部ルビあり)
※個人の主観・調査なので正確性は保証できません
※もちろん上記年齢以外でも楽しめます!

家を建てすぎて空が見えなくなった

ある街に絵を描くのが好きな
サルが住んでいました。

その街にはどんどん家が建っていて、
建てる場所がなくなると
今度はどんどん上に高い建物が
できていきます。

「美味しい物が好きだから
食べ物をたくさん置ける家を建てる」
「帽子が好きで家にいっぱい置きたいから
大きい家を建てる」

と、みんなユニークな
家をどんどん建てます。

そのうち、建物が多すぎて
空がだんだん見えなくなってきました。

空が見えないと気分が滅入るので、
みんなはサルに
空の絵を壁に描くよう頼みます。

サルはどんどん空を作り、
人気画家となります。

サルはお金持ちになり、
みんなにも喜んでもらえて
嬉しく思います。

次第に街は
空の絵だらけになりました。

サルはふと思います。
「空をつくるなんてこと
して良かったのかな?」と。

そしてサルは街を出る決意をし、
空が見える田舎に引っ越します。

本物の空を見て、サルは
「ああそうだ、これが空だ」
と言い、失って初めて大事なものが
あったと気が付くのでした。

飽和社会への問題提起、だけど…

成長ばかりを目指して
大事なものを失っていく、
現代社会への問題提起に思える作品です。

「家を建てすぎて空が見えなくなった」
だけではなく、
「だからニセモノの空を作った」
というのがこの物語の注目ポイントです。

空が見えなくなったから、
家を建てるのをやめるわけではなくて、
ニセモノの空を作って
家を建てつづけることの歪さ。

サルは疑問を感じて街を出ますが、
思いきり加担していたサルが
自分だけ抜けてしまうのは
これはこれで無責任な気もします。

残された街の人たちは、
どうなるのでしょうか。

でも、じゃあどうするのが
良かったのでしょうか。

街の人たちが、
自分の好きな物のために大きな家を建てることは、
最初は悪いようには描かれていなくて
微笑ましく読めます。

それもあってか、
「家を建てない」ことが正解だとも
思えないのです。

…と、いろいろな角度から
考えさせられる物語です。

ルビのない漢字もありますが、
小1の終わりあたりなら
たぶん読めると思います。

「空をつくる」

作:村尾亘
出版社:小さい書房

以下、雑記

気候変動・温暖化の問題のように、
「人間がやりすぎて自然がおかしくなった」
という話だと受け取っていいのかもしれないけど、
私は前述のとおり
「ニセモノの空を作った」
という部分に注目したいです。

自然破壊の問題に限らず、
何かをごまかすために行動して、
後にひけなくなることは
結構よく起きていると思うのです。

そして、
ニセモノで満足してしまって、
本物を忘れてしまうことも
よく起きていると思います。

それはそれで幸せなのかも
しれないのだけど。

そして、サルが言うように
無くして始めて大切なものに
気がつくということも
よくある話です。

1つの物語の中に
たくさん考えられる要素が
詰まった絵本です。

絵もとても素敵です。

空をつくる
● 1番おすすめの年齢:7歳~8歳
● 1ページの文章量:平均6行~8行
● 漢字使用(ルビなし ※一部ルビあり)
※個人の主観・調査なので正確性は保証できません
※もちろん上記年齢以外でも楽しめます!

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