児童書・絵本ブログのナギブックです。
今回はヨシタケシンスケさんの「発想えほんシリーズ」をご紹介します。
発想えほんシリーズ
● 1番おすすめの年齢:6歳~7歳
● 1ページの文章量:平均4行~10行 + 手書きの書き込みが多い
● ひらがな・カタカナのみ
※個人の主観・調査なので正確性は保証できません
※もちろん上記年齢以外でも楽しめます!
発想えほんシリーズ
人気絵本作家ヨシタケシンスケさんの
デビュー作「りんごかもしれない」から
始まった発想えほんシリーズ。
どれも斬新で
子どもが読んでも大人が読んでも
単純に面白いです。
単純に面白いながらも
深く考えらせられる部分も多くて
ぜひ子どもに読ませたい絵本です。
子どもからすると、
独特の世界観が面白いのだと思います。
自由で柔軟な発想の作者の
頭の中にある世界がどんどん広がって、
それが絵や物語になっています。
自分だったらどう考える?
という問いかけのヒントもたくさんで
いろいろな読み方ができます。
幼児でも楽しめるし、
もう少し大きくなったら
また違った読み方もできると思うので、
ぜひ買って家に置いておきたい絵本です。
5歳くらいから理解できると思うので、
それ以上のすべての年齢におすすめです。
シリーズは5冊
シリーズは下記の5冊です。※2023/5/18現在
「りんごかもしれない」
「ぼくのニセモノをつくるには」
「このあとどうしちゃおう」
「ころべばいいのに」
「ぼくはいったいどこにいるんだ」
※刊行順
まだまだ続きが出るかもしれません。
楽しみです。
5冊ともまったく別のお話なので
好きな順に読んで大丈夫です。
なかでもおすすめの3冊を紹介します。
全部おすすめなので迷いましたが…。
「あなたのこと詳しく教えて」と言われたけれど
まずは「ぼくのニセモノをつくるには」
を紹介します。
うちの子はこれが1番好きなようです。
「ぼくのニセモノをつくるには」
作:ヨシタケシンスケ
出版社:ブロンズ新社
宿題やお手伝いなどを
やりたくない主人公は、
自分のニセモノを作って
代わりにやらせることを思いつきます。
さっそくロボットを買って
自分そっくりになるよう頼みますが、
そのためには
「あなたのこと詳しく教えてください」
と言われます。
自分の名前や家族、見た目、
好きなことや嫌いなこと、
できることやできないこと…
自分のことを話すのって
難しくてめんどくさいです。
他の人から見た自分は
人によってバラバラだし、
場所や立場によって
自分でも自分を使い分けています。
それに、自分はまだ
作られている途中だし、
日によって気持ちもコロコロ変わります。
そして、自分の心の中は
自分しか知らないし、
自分は世界で1人だけです。
ぼくって何だろう、
と、主人公が考えれば考えるほど
いろいろ出てくるのでした。
最後は家について
お母さんにすぐニセモノということが
バレて終わっています。
物語としては
ニセモノを作るための準備なのですが、
「自分とは何か」を考えるための
絵本だと思います。
自分を知るために地図を書く
次は最新作の
「ぼくはいったいどこにいるんだ」です。
「ぼくはいったいどこにいるんだ」
作:ヨシタケシンスケ
出版社:ブロンズ新社
お店への地図を持って
おつかいに出かけた主人公は、
地図にもいろいろあることに
気がつきます。
大きい地図、小さい地図、
体の中身を表した地図、
仕組みや考え方を表した地図、
自分だけが分かる自分のための地図。
気持ちの地図や
したいことを表した地図もあります。
(したいことの地図は、
マズローの欲求5段階説が
関わっているかと思いました)
設計図は「未来の地図」なので
時間を表す地図もあります。
主人公は未来の地図を考えてみます。
大人になるまでに
様々なルートがありそうです。
でも、地図はあると便利だけど、
なくてもどうにかなるということにも
気がつきます。
そして家に帰った主人公は
「今日の気持ちの地図」を書きます。
自分は地図がうまいと
少し得意気な主人公なのでした。
将来のこと、自分の気持ち…
地図にすることで
心の整理ができて
自分のことがよく分かるのかもしれません。
死んだ後の世界を考える
最後に紹介するのは
「このあとどうしちゃおう」です。
「このあとどうしちゃおう」
作:ヨシタケシンスケ
出版社:ブロンズ新社
主人公のおじいちゃんが亡くなった後、
「このあとどうしちゃおう」と
書かれたノートが見つかります。
中を見ると、
死んでから生まれ変わるまでの手順や、
生まれ変わったらなりたいもの、
天国はきっとこんなところ、
現世で主人公たちを見守る方法…
などが描かれていました。
あまりに楽しそうに描かれているので
それを読んだ主人公は、
「おじいちゃんは死ぬのが
楽しみだったのかな?」と考えます。
でもそうじゃなくて、
死ぬのが怖いから
楽しいことを考えて怖くなくなるように
したのかもと気がつきます。
本当はどっちだったのかは
おじいちゃんにしか分かりません。
そして主人公も
「このあとどうしちゃおうノート」を
作ることにしますが、
死んだ後のことを考えると
生きているうちにやりたいことが
たくさんあることに気づくのでした。
「死」について
新しい観点で描かれた本だと思います。
ちなみにラストは、
おじいちゃんが見守っていてくれるのかな
と予想できるような描かれ方で
ちょっとグッときました。
以下、雑記
実は最初は
ヨシタケシンスケさんの作品は
あまり好きではありませんでした。
最初に読んだのが
「ふまんがあります」という絵本で、
図書館で読んで
うちの子は結構気に入っていました。
でも私は
「子どもはこういうの好きだろうけど、
大人としてはあまり勧めたくないな」
と思いました。
クレヨンしんちゃん的な。
ちなみに「ふまんがあります」は
子どもの屁理屈全開のお話です。
そこで何となく遠ざかっていたのですが
たまたまうちの子が
「りんごかもしれない」の存在を知り、
発想えほんシリーズをすべて読むことになりました。
すると、なんと面白いこと。
大人が読んでも面白いし、
いろいろ考えるキッカケにもなるし、
一気に大好きになりました。
ためになる絵本で
かつユーモアもあるなんて最高です。
と手のひらを返しました。笑
そして絵もかわいいです。
表紙の裏に書いてある絵も
物語を補足していて大好きなので
ぜひ見てみてください。
発想えほんシリーズ
● 1番おすすめの年齢:6歳~7歳
● 1ページの文章量:平均4行~10行 + 手書きの書き込みが多い
● ひらがな・カタカナのみ
※個人の主観・調査なので正確性は保証できません
※もちろん上記年齢以外でも楽しめます!
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